高齢者糖尿病について
こんにちは!
渋谷区東の渋谷駅、代官山駅、恵比寿駅などから通いやすい内科・糖尿病内科の【渋谷済生クリニック】医師の入江聖子です。
今回は、5月に行われました糖尿病学会から、高齢者糖尿病の話題についてお伝えしたいと思います。
高齢者とは65歳以上の方と言われていますが、日本では人口の3割程います。
また2050年には半分以上が高齢者になると言われている都道府県もあります。
現在高齢者でない方も、今後のために参考にしていただけると嬉しいです。
以前より、糖尿病の管理ではHbA1cを7%未満に維持することが合併症予防の上で大事といわれてきました。
最近ではHbAc7%未満を目指すのではなく、同じ病気でも年齢や合併する病気など考え個別化医療が大事だと言われるようになってきました。
特に高齢者では個人差が大きく、合併疾患、身体機能、認知機能、経済状況など様々な状況を考慮する必要があります。
その中でも高齢者糖尿病に多い体の問題として、フレイル、サルコペニアなどが注目されています。
フレイルとは・・・
病気ではないけれど、年齢とともに筋力や心身の活力が低下し、介護が必要になる前の虚弱な状態のことです。
生活習慣を見直すことで、その進行を食い止め、健康な状態に戻すことができます。
サルコペニアとは・・・
高齢期に認められる、筋量、筋力、身体機能の3つが低下した状態をいいます。
フレイル、サルコペニアの状態にある方は、厳格なコントロールを目指すのではなく、HbA1c7.6%ぐらいを目標にするのがよいということが、最近の研究でわかってきました。
フレイルのある方には、メトホルミンやDPP4阻害薬など低血糖を起こさない、体重を減少しにくい薬がよいと報告されています。
必要に応じて、インスリン治療やインスリン分泌を促進する薬などが処方されることはありますが、低血糖に注意して使用することが重要です。
フレイル、サルコペニアの予防として、運動療法のサイエンスの時にお伝えしましたが、タンパク質の摂取が重要になってきます。
低栄養のリスクがある高齢者のタンパク質摂取量は1.2g~1.5g/実体重(kg)/日が望ましいとされています。
また、運動では、筋肉をつけるようなレジスタンス運動いわゆる筋肉アップトレーニンが望ましいといわれています。
タンパク質量が多い食べ物として
脂肪の少ない肉類
マグロ、カツオ、エビ等の魚介類
大豆製品(とうふ、納豆など)などです。
レジスタンス運動とは・・・?
自分の体重を利用する自重トレーニング、チューブトレーニング、ウエイトトレーニングのことを指します。
運動方法は人によって違うため、専門知識のあるトレーナーさんに聞くことが一番良いですが、ご自身でされる際は無理をせず、椅子に手を添えて行うスクワットや踵上げ、もも上げ、足上げ等、ゆっくり始めて習慣をつけ継続していくことが健康への一歩に繋がります。
糖尿病専門医 入江 聖子