渋谷・恵比寿・代官山から徒歩圏内の内科・糖尿病・生活習慣病検査を行う【渋谷済生クリニック】の医師入江聖子です。

前回に引き続き動脈硬化を調べるための検査の話題です。

動脈硬化の評価として当院でできるPWV(pulse wave velocity:脈波伝導速度)とABI(ankle brachial index:足関節上腕血圧比)検査です。
動脈硬化につきましては1つ前のブログで説明しておりますので気になる方はこちらをクリックしてください。

PWVは動脈硬化の程度、いわゆる血管年齢を測定できる検査です。
心臓の収縮に伴い、脈が上腕や足首に伝わる速度を測定します。
動脈血管が硬くなったり、壁が厚くなったりすると、脈の伝わる速度が速くなるので、PWVの数値が高いほど動脈硬化が進行していることを意味します。

ABIは足の血管の動脈硬化、狭窄や閉塞を調べる検査です。
足首と上腕の血圧比を測定します。
正常の場合、足首の血圧は上腕の血圧よりも高くなりますが、足首の血圧が上腕よりも低い場合は、下肢血管の動脈の狭窄、閉塞が疑われます。

歩行時に足が徐々に痛くなる、しびれがある、足が冷たい感じがする、などの症状がある場合、糖尿病のある方、喫煙歴のある方は検査をお勧めします。

PWVとABIは同時に測定でき、測定時間は準備を含めて10分程度です。
手首と足首に血圧計を巻、ベッドの上に仰向けになり両腕と両足首に血圧計のカフを装着し、4ヵ所の血圧を同時に測定します。
PWV・ABI検査を両方しても保険診療3割負担の方で300円程度となり、金額的にも検査しやすくなっております。(検査のみの金額)

 

次に血圧の季節変動についてです。
冬になって、血圧が上がっていることを実感されている方も多いと思います。
血圧は常に一定なものではなく、寒暖差に伴う季節変動があります。

一般的に冬場と夏場では冬場の方が高くなる傾向があり、高血圧の方では一般的に10mmHg程度の差がありますが、15~20mmHg以上の差がある場合もあります。
冬場の血圧上昇は、寒さによる血管収縮や、寒さのために運動が減ること、汗をかきにくいこと、塩分の多い食事が増えること、などが原因と考えられています。

冬場の血圧上昇は脳卒中や心筋梗塞のリスクとなります。
降圧剤の治療をされている場合には、季節により薬の量の調節が必要な場合があります。
冬場に血圧上昇してしまう場合には薬の増量が必要ですし、逆に夏場に冬場と同じ量を飲んでいて血圧が下がりすぎてふらつきが出る場合もあります。

血圧変動が気になる場合はお気軽にご相談ください。

 

PWV検査は一般的に季節の影響はないとされておりますが、若干冬場に年齢が高く出る傾向があります。

経過を見る場合には同じ季節に検査をされた方が良いかもしれません。

渋谷済生クリニック